江別市議会議員 岡英彦のブログ

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江別市立病院シンポジウムメモ2019年1月21日
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    2019年(平成31年)1月21日に江別市立病院のシンポジウムが開かれ参加してきましたので内容を簡単にメモしておきます。

    あくまで岡のメモした内容と記憶に基づくもので、発言者の発言の内容が一字一句正確な訳ではない点はご理解ください。

     

    「江別市立病院シンポジウム」

    〜今後の江別市の地域医療を守るために市立病院は何をしていくか〜

    出席者

    江別市立病院経営健全化評価委員長 西澤寛俊氏、同委員 樋口春美氏

    江別市立病院院長 富山光広氏、三好市長

     

    ※ 江別市立病院経営健全化評価委員会は2008年に設置された市立病院の経営状況についてアドバイスを行う機関です。年に2から3回開催されています。

     

    1. 市立病院の現状報告

    司会の病院事務長より配布資料に基づいての説明。市の年齢別人口割合の推移と将来予測、市内医療機関の診療科目、市立病院医師数の状況、現在の診療収益の状況、病院事業収益と費用・経常収支比率の推移などについて説明がありました。

     

    2. 出席者からの意見

    富山院長:地域医療を守るために市民からどのような意見・要望があるのかを伺い、それを実現するために市立病院が何をすればよいかを考えていきたい。市内医療機関との役割分担も考えていかなくてはいけない。2040年に高齢人口がピークを迎えたときに、札幌の医療機関が急性期の患者の全てを受け入れられない状況となるのではないかと危惧している。

     

    西澤委員長:医師の働き方改革が求められる時代になっており、より多くの医師配置が必要となるが、地方ではますます医師不足が進むと考えられる。救急・小児・周産期医療が公立病院に求められるが、医師確保は更に大変になっていく。

     

    樋口委員:これからの時代には地域で活動する看護師の大幅増が必要である。市立病院は病院と在宅をつなぐ看護に行うべく努力している。

     

    三好市長:市立病院は不採算医療に関わる対応が必要である。市の支援と経営安定のどちらも重要である。2040年の医療需要を見据え、市立病院がどのような体制をつくるかが大事である。

     

    3.質疑応答

    Q1:現在の赤字続きの経営状況についての評価委員の意見は?

    西澤委員長:公立病院は無理に黒字である必要はない。今後の医療需要にどう対応するか、公立病院として市民の健康をどう守っていくかの視点が大事である。赤字額の数字だけではないことを理解して欲しい。

     

    Q2:これまで策定した改革プラン中の計画や評価委員会からの提言を実施していないのでは?

    三好市長:先ずは医師確保を最優先に実行してきた。改革プランにあった経営形態見直しについても検討しているが、負債の整理が必要など慎重な対応が必要で今現在では難しく、結論には至っていない。

    西澤委員長:医師確保は常に課題だが原因は市立病院ではない。確かに全て上手くいっているわけではないが、一部やっている部分はあり、職員は努力している。

     

    Q3:国保のレセプト分析を行い市民がどの医療機関に通っているなどの調査を行ったらどうか?

    三好市長:データの分析が必要との意見はその通りであり、どういう形でできるか調べる。

     

    Q4:診療科別収支の資料がなぜ公開されないのか?

    富山院長:不採算を担っている公立病院の意味を考えると公開することに危惧を感じている。収支だけを見られると地域医療はもたない。医師のモチベーションにも影響する。

     

    Q5:市立病院のあり方について今後も市民の声を聴く体制づくりは?

    三好市長:今回のような場を設けて良かったという声を聴いているので、どのような形でできるか検討していきたい。

     

    その他意見

    ・医師確保が難しいと言われても一般市民は分からない。今の経営状況だと市立病院を残すか残さないかの判断も必要。

    ・赤字経営の先送りをしていると問題が大きくなるだけである。夕張の財政破綻の教訓を活かすべき。

    ・人事のために医師が辞めているという噂がある。院内内部の噂のことは分からないが、なぜ医師が辞めるのかを重点に考えてほしい。地域医療を守る前に市立病院を守る必要がある。現場の医師にプライドを持ってもらい、魅力ある病院になって欲しい。

    ・地元の開業医だが、市立病院への不信感を持つような事例があった。市民が赤字を納得していないのも市立病院への信頼が不足しているからである。現場の医師の努力不足を感じる。

    ・札幌の看護師だが、市立病院は当別や南空知からの患者も受け入れている。江別で救急を受けられる体制を残して欲しい。

     

    4. 出席者まとめコメント

    院長:内科医師以外は充実してきている部分があるが、内科医師の確保にこれからも努めていく。

    三好市長:様々なご意見を頂いたので、どのような形で今後進めていくべきか検討していきたい。

     

     

    感想:

    このような市民に対する説明会は質疑応答で紛糾するケースも多いですが、厳しい意見は出ていたものの、声を荒げるような場面は少なく、比較的、冷静に議論が出来ていたように感じました(当たり前ですがどのような場面でも相手を尊重して議論することが大事です)。

    不採算の地域医療を守る、将来の医療需要に備えるということで直近の経営状態ではない部分の議論をしたい出席者側と、目の前の経営問題をどうするのかということを議論したい多くの参加者側とで若干意識のズレがありました。

    専門医を充実させる総合病院としても上手くいかず、総合内科医を育てる病院としても先行きが不透明な現在の状況で、市立病院の特色として今後どのような形を打ち出すのか、また、現状の状態が続いた場合どこまで市の財政上耐えられるか、医師確保が上手くいかない場合の代替プランなどについて聞きたかったところではありますが、そこまでの議論にはなりませんでした。

    また、累積赤字の金額が注目されがちですが、公立病院の場合、経営上より重要なのは不良債務の金額である点を議論の前提として理解いただく必要があります(累積赤字は自己資本金と相殺できるが、不良債務は手持ちの現金の不足なので)。

     

    | 岡英彦プロフィール | 市立病院経営問題 | 10:30 | comments(0) | trackbacks(0)









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