江別市議会議員 岡英彦のブログ

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市立病院経営問題 再び内科医不足へ
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    専門にとらわれすぎない総合内科医を育てる病院として病院再建のモデルとまで言われたこともあった江別市立病院ですが、2016年以降、看板であった総合内科医の退職が相次ぎ、再び内科医が不足する事態となっています。医師の不足に伴い患者数が減少し、2018年10月からは1病棟50床の休止を余儀なくされるなど経営状況も悪化しています。

     

    現在に至るまでのここ数年の動きを見てみます。

    尚、2018年から市議会の委員会議事録が公開されましたので、その議事録を参考にしています

     

    2016年8月、それまで再建当初から市立病院の総合内科医の育成・研修の中心的な役割を担っていた指導医の医師が退職されました。業界内で有名であった指導医の退職は市立病院の総合内科を養成するプログラムの魅力を低下させる事態となりました。
    結果として、2016年4月に23名いた総合内科医は、1年後の2017年4月に13名にまで大幅に減少してしまいます。2017年以降、市立病院の総合内科医養成プログラムに新たに参加する後期研修医がいなくなり、医師のマンパワーが大きく不足することになりました。

    これまで市立病院の総合内科は大学の医局に頼らず独自に医師を招聘してきましたが、2016年以降、総合内科医の退職が続いており、2019年1月時点で総合内科医は6名となってしまいました。総合内科医を育てる病院としての魅力は指導医の魅力であったと言え、今後、これまでのように総合内科医を充足させることは非常に難しい状況です。


    一方、大学医局からの内科専門医の派遣は病院再建の過程において常に課題としてあがっていました。再建の看板として総合内科を掲げていたものの、病院の規模と診療単価を考慮すると内科専門医は欠かせないと考えられていたからです。

    市としては大学医局との関係を構築し、医局から医師の派遣を受けるため、2018年3月に退職される病院長の後任として内科系の医局からの院長招聘を模索しましたががかないませんでした。
    そこで以前から消化器外科の医師の派遣を受けている外科系の医局出身の医師に院長に就任頂き、消化器外科と繋がりの深い消化器内科の医師の派遣に繋げようというのが現在の市の考え方です。
    これまでのところ常勤医の派遣には至っておらず、市の思惑通り進むのか否かは予断を許さない状況です。


    経営面をみますと、総合内科医の退職に伴い、市立病院の経営状態は悪化の一途をたどっています。累積赤字は100億円に達しようとしておりますが、病院運営上より大きな問題は手持ちの資金の不足を表している不良債務と一時借入金です。2016年度以降不良債務が再発生しており、2018年度末の不良債務額は10億4732万、銀行からの一時借入金は20億円に達し、2018年度末に急遽、市の一般会計から6億円の貸し出しを行い資金不足をしのごうとしています。

    医師確保が期待通りに進まず、収益も計画通りに上がらない状態が続くと、不良債務と一時借入金が更に膨らむことになり、市の財政全体への影響も避けられないと考えられます。


    その他の動きとしては、市民団体から市立病院の経営健全化についての陳情が2017年3月に市議会に提出されたことがあげられます。経営形態変更の具体的な検討を求める内容で採択はなされませんでしたが、この陳情を契機として2017年6月に市議会の中に市立病院・地域医療検討特別委員会が設置されることなりました。ここ最近は市立病院問題に関連して、市議会の委員会(特別委員会を含め)の場に市長の出席を要請し質疑を行うケースが増えており、病院問題がクローズアップされています。


    一連の記事で過去からの市立病院の経緯を振り返ってきましたが、市立病院の経営問題は常に市政の課題として取り上げられてきた歴史がありました。一自治体による病院経営は鬼門と言わざるを得ないほどに苦労の連続です。仮に一時的に危機を乗り越えることができたとしても、歴史の教訓から学ぶべきことは多いのではないでしょうか。

     

    | 岡英彦プロフィール | 市立病院経営問題 | 22:45 | comments(1) | trackbacks(0)
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    | - | 2019/04/25 8:01 AM |










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