江別市議会議員 岡英彦のブログ

江別市議会議員、岡英彦のブログです。
2023/5/1より4期目の任期を迎えています。
平成24年度一般会計の決算
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     平成24年度の一般会計及び各特別会計の決算審査が、10/21〜10/29にかけて決算特別委員会で行われました。

    ○一般会計決算の概要(数値は1000万円の位を四捨五入、()内は前年度比)
    ・歳入決算額397億円(0.7%増)、歳出決算額392億円(1.1%増)となりました。
     H23年度からは横ばい歳出決算額となっています。尚、3月の補正予算により国の経済対策があったため予算総額は419億円となっていましたが、このうち18億円分はH25年度分に繰り越されましたので、H24年度決算には含まれてきません。この辺はちょっと分かりにくいです。

    ・歳入については、市の独自財源である市税と地方交付税についてみると、市税収入120億円(2.4%減)、地方交付税額108億円(1.8%増)となりました。3年に1度の固定資産税の評価替えにより市税収入が減っています。
     また、市債発行額は新栄団地建て替え事業などにより31億円(17%増)となっています。

    ・歳出については、義務的経費(人件費、社会保障に関する費用、公債費)204億円(0.6%減)、投資的経費(顔づくり、学校耐震改修、新栄団地など)34億円(27.3%増)となりました。

    ・公債費(借金)残高については、356億円(3.3%減)となりました。

    ・市の財政を表す代表的な指標は以下の通りです。
    財政力指数  0.502(0.012減)
    経常収支比率 94.1%(2.5ポイント増)
    実質公債費比率 11.7%(0.1ポイント増)
    将来負担比率 37.6%(4.3ポイント減)

    ・平成24年度の単年度でみた実質的な収支は1億2149万円の赤字となりました。赤字は平成19年度以来です。黒字額は減少傾向にあります。貯金である財政調整基金は28億9207万円となり、2年連続の取り崩しになっています。


    ○主なトピック
    ・除排雪
     3シーズン連続となる大雪でH24年度も除排雪の追加予算が組まれることになり、除排雪費は昨年度とほぼ同額の9億7585万円となりました。累積降雪量(663cm)は過去30年でトップ10に入り、最大降雪量(167cm)は過去最大を記録したため幹線排雪量は過去最大となりました。一方、自治会排雪は時期的な差もありH23年度よりも排雪量は減りました。

    ・顔づくり事業
     野幌駅周辺の再開発事業ですが、H24年度末までの土地区画整理事業の進捗率が事業費ベース33.8%(全体事業費80億円)、物件移転数ベースで42%(全体物件移転数92棟、計画対比4ポイントの遅れ)となりました。地権者・物件所有者との協議に時間がかかっており、年々遅れていましたが、H24年度は駅南側の物件移転が進み、進捗率があがっています。

    ・住宅用太陽光発電
     市内の住宅用太陽光発電の導入状況がH24年末で333件、1406kW分であることが分かりました。道内での一戸建て住宅における住宅用太陽光発電の普及率は1%程度と考えられており、江別市における普及率も道内の数字と近いものと考えられます。

    ・保育園
     厚生労働省の基準による待機児童は4月は0人、10月になると13人となっていますが、一時保育や他のサービスを利用しながら特定の保育園に空きが出るのをまっているなどとする児童は12月で55人となっています。平成27年度から子ども・子育て支援新制度がスタートすることになり、待機児童解消に向けて更なる取り組みが求められます。

    ・生活保護
     H24年度3月現在の生活保護世帯は1158世帯、1640人となっています。全世帯に占める割合は13.5パーミル(1.35パーセント)です。世帯の内訳は、高齢世帯47.8%、母子世帯9.1%、障がい世帯9.6%、傷病世帯17.8%、その他世帯15.7%です。その他世帯が昨年度比6.5ポイント増と大幅に増えていますが、これは傷病世帯の一部がその他世帯に分類されることとなったためです。

    ・就学援助
     経済的理由により小中学校における学用品や給食費などの負担が困難な家庭に就学援助が行われております。H22年度2419人(23.5%)、H23年度2416人(24.1%)、H24年度2398人(24.7%)となっており実数は減っていますが、全児童生徒数に占める割合は年々増えており、4人に1人の状況になっています。

    ・スクールソーシャルワーカー
     家庭環境が厳しい児童生徒が増えていることなどもあり、困難を抱える子どもを社会福祉的観点からサポートするための人材であるスクールソーシャルワーカーがH23年度から2名が配置されています。学校現場側がスクールソーシャルワーカー(SSW)という職になじみがないこともあり、この2年間は学校・教師に活動内容を知ってもらう段階でしたが、今後徐々に相談件数が増えていくものと考えられます。

    ・市税の収納率
     納付されるべき税金のうち、実際に納付された割合を収納率と言いますが、H24年度は94.6%となり、H19年度以降、毎年収納率が上がっています。

    ・臨時職員、非常勤職員数
     H24年度4月現在の臨時職員と非常勤職員は296人となっておりH23年度と同数です。医療職を除く市の職員数は802人となっており、ここ数年再任用の数が増えています。

    ※ 決算特別委員会での審査を受けての本会議での議決は12月議会の初日に行われます。
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    北海道自治体学会フォーラムinのぼりべつ
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       10/26に登別で開かれた北海道自治体学会フォーラムに参加してきました。道内各自治体の職員や議員など120名近くが参加したフォーラムとなりました。

      1. 石原俊彦 関西学院大学教授の講演(自治体職員のネットワークづくりの必要性)
      公共サービスと行政サービスとは?
       政策と施策の違いは公共サービスと行政サービスの相違に関連付けて整理される。公共サービスとは、多くの住民が享受できるサービスであり、その第一義的担い手は民である。行政サービスとは行政が提供するサービスである。今日の自治体運営は行政と住民との連携が大前提となっている。政策の視点から見ると、事業や施策とは異なって行政と民が連携してはじめて実現することができる「まちづくり」のための役割分担と考えられる。

      補完性の原理とは?
       補完性の原理とは、EUの創設を定めたマーストリヒト条約の中でもEUと加盟各国との関係の原理として定められているものである。住民が主体的にまちづくりに取り組み、その補完を行政が行うという発想が必要であり、自分たちのまちのことは自分たちでが補完性の原理の根底に存在する概念である。

      財政情報の開示
       日本の公的債務残高は1000兆円であり、本年度のみで100兆円増加する。身の丈を超えた過大な資産形成を行っていることを行政と住民は共通認識しなければいけない。普通交付税は一定の限度があり、現状の臨時財政対策債の発行状況をみれば、今後、普通交付税の財源は減額していくはずである。

      内発的な行政改革
       英国では、地方財源の大幅なカットが行われ、職員の解雇による人員削減や公の施設の見直しに着手している。こうした中でも、図書館は不要でも図書館機能は必要という発想を行い、図書館の共同利用などを模索している。
       このような中で、日本全国の自治体においてもNew PPP(Public Public Partnership)という形で、ハードの規模の適正化と共同利用、また、ソフト面でのノウハウの共有といったものが欠かせない。地方自治体業務改善運動などに見られるように自治体間での人的交流を深化させ内発的に行政改革を行っていくことが重要である。

      2. ワールドカフェによるワークショップ
       参加者で講演内容について議論を行うワークショップがワールドカフェ方式で開催されました。最近参加する研修や勉強会では、ワールドカフェを行う事例も増えてきているように感じます。
       ワールドカフェとは、「知識や知恵は、機能的な会議室の中で生まれるのではなく、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる『カフェ』のような空間でこそ創発される」という考えに基づいた話し合いの手法と定義されています。議論ではなく、対話を行うことに主眼が置かれています。大人数でもやりやすいというのがあるらしく、1000人単位のワールドカフェも開かれているようです。

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      市民参加型予算の研修会
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         10/13に明治大学で開かれた市民参加型予算の研修会のメモ書きです。

        1. 新公共経営(NPM)から新公共ガバナンス(NPG)へ
         各国の政府は戦後から今日まで明らかに統治形態が変わってきており3つの時期に分けられる。第1期は1970年代までの旧来階層型の行政管理(Old Public Administration)。第2期は1980年代から市場原理主義による行財政改革が進められた時期であり新公共経営(New Public Management NPM)。そして第3期が2000年代頃から行き過ぎた市場原理主義を民主的手続きへと戻す動きである新公共ガバナンス(New Public Governance)である。NPMが効率性を優先課題としてきたのに対し、NPGは民主制を重視して政策決定を行うものである。ここでは政府は民との交渉と利害調整役として協働のガバナンスを形成する。
         
        2. 公共サービスにおける協働(コープロダクション)
         協働とは「公共サービスにおける協働(コープロダクション)とは専門家と市民がお互いの資産、資源、貢献をよりよく活用し、よりよい成果と高い効率性を実現することである」と定義され、専門家(公的機関)とコミュニティの二者が必要と考えられる。公的機関、市民、コミュニティら全てが成果の改善に貢献するものが協働である。
         公共サービスの協働とそうではないものの違いは、サービスに誰が関与しているかによって判断される。従来のサービス提供は利用者とコミュニティの関与は低いものであり、一方、公的機関の関与が低いものは自助とみなされる。公的機関のみならず利用者とコミュニティの関与が高いものを協働と捉えることができる。

        3. 世界の市民参加型予算
         市民参加型予算は協働委任(コーコミッショニング)の一形態と考えられる。協働委任とは、協働でサービス供給者にどの位の予算でどれほどのサービスを行うかを計画し決定することである。自治体の予算の一部をどのように配分するかの決定を市民に委ねる民主的な方法と定義される。
         各国で市民参加型予算が導入されている背景としては、サービスへの需要が高まる一方、悪化する財政状況において、公共サービスの削減または地方税の増税は破局的な結果になる可能性があり、どのサービスを削減するか、誰にどのサービスを提供されるべきかの優先順付けをどうするかなどについて市民を公的な意思決定プロセスに参加させることで社会的信頼を再構築しようというものである。
         1989年にブラジルのポートアレグレで実施されたものが市民参加型予算の始まりと言われており、近年ではヨーロッパ各国など2010年までに1500近くの地域で実施されている。
         市民参加型予算のタイプは、地域によって様々である。誰が市民参加型予算に参加するのか、誰が予算を決めるのか、誰が市民参加型予算のプロセスを管理するのか、どれくらい市民参加型予算は制度化されているのか、どのくらいの予算が市民参加型予算にかけられるのかなどはそれぞれ異なる。例えば、フランスのポワトゥーシャラント地区では、2004年以来、100以上の学校、3万人以上の生徒・保護者・教師が学校へのとうしに関する議論に参加し、地区の全支出の25%にあたる予算が学校にあてられている。
         市民参加型予算のプロセスの例は以下のものである。まず、近隣地区の協議会により地域のニーズの特定と代表の選出が行われ、その後、代表会議によりプロポーザル(企画・提案)が作成される。プロポーザルが公表され、地域の反応を得てテーマ毎の部会による実行可能性の検討や事業への反映が行われる。これらが市民に発表され投票にかけられ、予算が承認されるという流れとなる。この間、行政職員は干渉しすぎることなく参加していかなければならないが、代表として選ばれた人々が単なる好奇心、個人的な関心、ある特定の利益の代弁ではなく、市民として貢献したいという志を持っている人であるかどうかを確認するというバランスをとる必要がある。
         市民参加型予算の効果は、市民に税金をどのように使うかについての権限を与えることで、間接民主主義において代表する者と代表されている市民との間のギャップを小さくし社会的信頼を再構築し、行政の透明性を高めることである。市民参加型予算が行われているイタリアの自治体では、市民の納税が増え、公共の空間がよりよく維持されるようになったとの調査結果がある。
         市民参加型予算の課題としては、行政職員は市民をどのように市民参加型予算に参加させればよいか分かっているのか、地域コミュニティは予算の使い道を知らされているのか、行政は市民と協働するパートナーシップ文化へ変わる準備ができているかなどがあげられる。 市民参加型予算の前提としては2つの条件があり、市民が自治体が何をやっているのか理解する力を強化すること、市民が意見を表明する力を強化することがあげられる。

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