江別市議会議員 岡英彦のブログ

江別市議会議員、岡英彦のブログです。
2023/5/1より4期目の任期を迎えています。
統一地方選挙における「低投票率」と「無投票」の状況はこのままで良いのだろうか?
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    過去最低の投票率

    2015年4月の統一地方選挙では、各選挙の投票率が軒並み過去最低を記録しました。

    4月12日に投開票が行われた前半戦では、全国10知事選の平均投票率は47.14%、41道府県議選は45.05%、5政令市長選は51.57%、17政令市議選は44.28%で、いずれも過去最低となりました。

    4月26日に投開票が行われた後半戦では、全国89の市長選の平均投票率は50.53%、259の市議選は48.62%、122の町村長選は69.07%、373の町村議選は63.12%となり、こちらもいずれも過去最低でした。

    近年の衆議院選挙はその時の選挙の争点により投票率が上下していますが、統一地方選挙においては1951年をピークに一貫して投票率の低下傾向が見て取れます。町村長選・町議選を除き5割を切るか、5割ギリギリの投票率となっており、地方選挙における投票率の低下に歯止めがかからない状況になっています。

     

    江別市における投票率は、4月12日に行われた知事選は58.03%、4月26日に投開票が行われた江別市長選・市議選は有権者数97,737人のうち、投票者数54,580人となり、投票率は55.84%でした。

    知事選と市議選は過去2番目に低く、市長選は過去最低を記録しました。12年ぶりの市長選となり、後半戦の投票率上昇が予想されていましたが、前半戦の知事選を下回る結果となりました。

     

    無投票の増加

    今回の統一地方選挙では、全国41道府県議選のうち、全選挙区の33.4%、総定数の21.9%が無投票により確定し、過去最多となりました。全国で無投票当選者の割合が最も高かった香川県議会議員選は定数41人のうち27人(65.8%)が無投票で決まっています。

    全国89市長選では30.3%に当たる27市が無投票(過去4番目)となっており、295市議会議員選挙では14市、総定数の3.6%が無投票となり過去最多となりました。

    町村長選は53選挙、43.4%が無投票、町村議選89選挙、総定数の21.8%が無投票でした。

     

    北海道における無投票の状況

    道議選は全47選挙区の40.4%、江別を含む19選挙区で無投票となり、定数101人の27.7%、28人が無投票当選しています。尚、江別市での道議選は今回で3回連続無投票となりました。

    道内の市長選は13市長選挙のうち8市で無投票(夕張、稚内、赤平、三笠、千歳、滝川、砂川、伊達)となりました。過去4年に遡ると、道内35市の市長選のうち57.1%に当たる20市が無投票です。

    道内の市議選は27市中5市(夕張、名寄、三笠、砂川、歌志内)で無投票、町村長選は36町村中18町村で無投票、町村議会選は100町村中32町村で無投票でした。

    全国で無投票が増えている状況ですが、北海道においても地方政治の担い手不足は深刻な状況です。

     

    民主主義社会の劣化?

    50%を切るような低投票率や無投票が常態化しつつある現状から、新聞各紙などでは、「民主主義の機能低下」、「議会制民主主義にとって危機的な状況」、「日本の自治や民主主義はやせ細っていくばかり」などの意見が出ています。

    地域における生活の充足度が高くなると地方政治への関心が低くなると言われることがありますが、ここまで投票率が低下してきますと間接民主主義における代表の正当性が問われる時代になってきていると考えられます。

    「地方自治は民主主義の学校である」と言われます。これは、地域の課題を住民自らが話し合い問題解決に取り組んでいくことが重要であることを示しています。一人ひとりが政治の当事者として社会を運営していくという民主主義の原則において、それを単に理屈として捉えるのではなく、現場での実践を伴いながら民主主義を育てていくことがより重要であり、地域の現場での取り組みが必要とされています。

     

    一方、単に住民の無関心を嘆くばかりではなく、制度面において改善の余地が大きいものもあります。

    生活形態が多様化してきた現代において、投票しやすい環境づくりがこれまで以上に求められていると感じています。知事・道県議選と政令市長・市議選は同時に実施されているのに、一般市長・市議と町村長・町村議は後半戦に実施されており、なかなか時間の取れない人にとっては二度手間と言ってよい状況になってしまっています。

    期日前投票を複数個所設けることや、スーパーや駅などで投票できるようにする、指定された投票所以外でも投票できるようにするなどの対応を取ることで投票の利便性は高まります。

    また、人口が非常に少なくなっている町村議会の無投票に関しては、地方自治法上で規定されている町村住民による住民会議への移行も十分に検討する余地があるのではないでしょうか。

     

    先進諸国に比較して非常に厳しい選挙規制も低投票率と無投票を推進する力になっている側面があります。

    他の国々では最も主要な選挙手段である戸別訪問と文書の配布が日本では厳しく規制されていますし、候補者を集めた演説会や討論会も選挙期間中は開催できません。選挙には有権者の政治意識を養うという重要な機能があると考えられていますが、日本の選挙は有権者の政治意識を育てることに逆効果になっている面があります。

     

    低投票率という住民の無関心と無投票という政治の担い手不足により、民主主義社会の劣化と言われるまでの状況に陥ってきた今日、改めて民主主義社会を育てていくための仕組みづくりを考え、我々一人ひとりが民主主義社会を担っている当事者なのだということを意識しなければいけないのではないでしょうか。

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