東日本大震災から既に6年が経過しておりますが、7/19に全国若手市議会議員の会の研修として、事故の起こった福島第一原子力発電所を視察する機会を得ることができました。
これまで、2011年に南相馬市、2014年に伊達市・浪江町、2016年に富岡町にお伺いする機会がありましたが、福島第一原子力発電所の視察は初めてのこととなります。
福島の状況は毎年、刻刻と変化しており、先入観を持ってみないことが大事だと思います。
・福島第一原子力発電所
敷地面積350万平方メートル、350ヘクタール
札幌ドーム63個分、野幌運動公園6個分
1号機から4号機 1から3号機が爆発
尚、周辺市町村の避難区域の状況は、原発の立地する大熊町と双葉町以外のまちの主要部分は避難解除となっており、大熊町と双葉町を通る高速道路と国道も、4輪車での道路の通行は可能となっています。
1. 視察の概要
原発の隣町となる富岡町にて東京電力の職員の方より原発の現状と廃炉に向けた作業について1時間ほどレクチャーを受けた後、福島第一原子力発電所に向かいます。入口でセキュリティチェックを受けて、構内専用バスで50分ほど各設備を見ながら説明を受け、放射線量のチェックをして終了です。
バスから降りずに説明を受けることもあり、特別の防護をすることなくツアーのような形で視察が可能となっていたことは少々驚きでした。
2. 発電所の状況
構内の敷地の90%以上で一般の作業服と防塵マスクで作業が可能となっているとのことで、防護服と全面マスクでの作業は原発建屋の周辺などに限られるようになっています。大型休憩所と食堂が2015年に整備されたこともあり、構内での作業環境は震災当初と比較すると大きく変わっているようです。
現在、一日あたり約6000人弱が作業されています。
構内のあちこちに線量計が設置されていますが、バスから見えた数字では入口で0.7マイクロシーベルト/h、原子炉建屋に近づいた地点で50マイクロシーベルト/hといったところでした。
環境省換算では毎時0.23マイクロシーベルトで、年間追加1ミリシーベルト
札幌平成29年7月最小0.039、最大0.060
尚、視察を終了しての私の被ばく量は0.01ミリシーベルト(歯医者のレントゲンと同程度)でした。
レクチャーと構内での説明のかなり部分が原子炉冷却と汚染水の対策に関する話となっていました。
実際、構内の敷地の至るところに汚染水を保管しているタンクが設置されています。原子炉を常に冷却し続けなければならず、汚染水が発生し続けているわけですが、これらの処理に苦労されていることが良く分かりました。
現在、汚染水のタンクで敷地がいっぱいになっており、対応しなければならなくなっている。希釈して海へ放出するか?
一方、原子炉の溶け落ちた燃料(デブリ)の取り出しに関しては、状況を把握する調査の段階であり、まだまだ10年、20年の単位で時間がかかると想定されています。
デブリの取り出しの前に、使用済み核燃料プールの燃料を取り出さなくてはいけないのですが、非常に大掛かりな設備を設置して対応しています。こちらは今後、数年で取り出しを行う予定となっています。
使用済み核燃料の空冷キャスク方式での保管が一部実施されていることは新たな知見となりました。
3.周辺市町村避難指示解除
楢葉町 2015年秋
富岡町 2017年春
浪江町 2017年春
楢葉町、2017年3月時点 解除直線の住民票のうち帰還およそ1割
2017年8月時点 現在の住民票上の25%が居住
新規転入者増加しており原発作業関連の人たちが入ってきている。
6000人の作業員ということはトヨタの大規模工場が1つあるくらいの規模であり経済波及効果は非常に大きいと考えられます。
4. どうやったら視察できるのか
今回のようなバスで構内を回る視察は特別な防護は必要ないので誰でもいけるようになっています。
しかしながら誰でも受け入れているわけではなく県内住民などのステークホルダー、または対外的に発信力のある方といった基準を設けているとのことです。