2019年8月に設置されました江別市立病院の役割とあり方を検討する委員会が会合を重ね、2/5に答申が提出されました。
1. 答申概要
〇経営再建中期戦略
病院規模
現在278床(内50床は休止中)ある一般病床は206-208床に縮小
現在59床ある精神病床は段階的に廃止
診療科
精神科は外来機能のみ維持
皮膚科を縮小または廃止
循環器内科、消化器内科の拡充
職員体制
医師を除く職員数を7%程度削減
医師42名の体制を想定(内科医13名)
一般会計の負担
基準額を上限
過去の資金不足については一般会計から支援
経営再建期間の資金不足については一般会計から支援
〇経営再建の実効性担保
再建期間はR2年から3年間とし、R5年度での収支均衡を目指す
第3者による評価・点検を受ける
経営形態のあり方については継続協議しR2.6月を目途に結論を出す
2. 解説
経営再建の中期戦略として下記の内容が記載されています。
病院規模については、現在の病床利用率や将来の需要予測を考慮し、一般病床を206-208床に縮小するという方針になっています。
精神病床については、現在の病床利用率が低いこと、市内に入院を受け入れる民間の精神科の病院があることなどから段階的に廃止とされています。
診療科については、常勤医のいない皮膚科は縮小、病床を段階的に廃止する精神科は高齢患者への心身の疾患に対応するため外来機能は維持、内科は在宅高齢者医療を担う総合内科、救急受け入れを担う循環器内科、がん医療を担う消化器内科の体制とする方針です。従って、循環器内科と消化器内科については拡充することとなります。
尚、その他の診療科については現状維持となります。
職員体制については、病床規模と比較して多くなっている看護職員等の人員配置を見直し、病棟運営も2交代制とすることとされています。
医師については、循環器内科と消化器内科の拡充に伴い内科医13名とされており、臨床研修医4名を含めて42名体制がモデルとされています。
一般会計の負担は、明確な基準に基づく一定額を上限とすることとされていますが、これまでに累積した資金不足や、経営再建期間中の資金不足については適切な支援を行うべきとされています。
経営再建の実効性を確保するために、経営再建期間は来年度の令和2年から3年間とし、令和5年度に収支均衡を目指すとされています。また、地方公営企業法の全部適用や地方独立行政法人化などの経営形態のあり方については現時点で結論が出ておらず、6月を目途に結論を出すこととなっています。
3. 中期戦略の効果額試算
入院患者数1日192人、外来患者数1日680人と増加すると想定した効果額6.7億円
職員の人員配置の見直しと医師拡充による効果額1.4億円
入院診療単価が46000円となると想定した効果額2.1億円
経費の委託料を類似公立病院平均まで削減するとした効果額2.0億円
これら合計で12.2億円の収支改善効果がある。
4. ポイント
これまで市の人口規模を考慮すると病床数の維持すべきとしてきた方針を転換することになり、一歩前進と言えます。
収支改善策については、新規の医師確保を前提としており、これまで医師確保に失敗してきた過去の教訓が活かされていません。
過去及び今後の経営再建期間中の資金不足については一般会計からの支援を前提としていますが、来年度以降は一般会計の貯金が枯渇するため支援の手法が非常に不透明です。
収支改善額はH30の赤字額11.4億円をかろじて上回っていますが、かなり無理のある試算になっています。また、医師確保が前提とされているため、これまでH18以降に医師確保が出来てこなかった経緯を考慮すると非常に難しいと言わざるを得ません。